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※任意団体SPREAD当時に公開されたコラムです。

牧野総合法律事務所 牧野 二郎氏

電気通信事業法の基本概念は、通信の秘密の保護にあるはず。その事業者は、通信媒介業務を、厳格に、適正に運用しなければならないはず。

では、Googleはどうか?電気通信事業者ではないのかな?G-mail サービスは、どう考えても通信役務、通信の媒介業務になるように思うのです。
ただ、多くの人はこの便利な業務を、いささかの躊躇も無く?利用しているようです。電気通信事業者であるかどうかは、全く問題にならないのでしょう。

この問題は、以前の関心広告システムの導入で問題となったものです。メールの内容に沿って、関心事を洗い出して、それに応じた広告を掲示する、というサービスで、そのメールの内容を機械的にせよ、解析してしまうことは、通信の秘密との関係で問題がある、という議論でした。

 この問題に対して、わが国政府、特に総務省はだんまりを決め込んで、これといった対応をしてきませんでした。ところが今年の夏のYahooが同様のサービスを開始すると言った途端、これを問題にするといった態度をとり、Yahooから「一国2制度」と批判される状況にあります。すなわち米国企業Googleに対
する態度と、日本企業であるYahooに対する対応とが、完全に不一致となる行政指導、法的対応が行われるということなのです。

Googleの提供するサービスは、確かに、日本に限られたものではなく、日本の法律に従わなければ業務をしてはならない、とはいえないようにも思えます。インターネットの時代に提供されるサービスは、全世界に広がり、国境を意識することなく、サービスが国境を越えてくまなく行き来することになっている
わけです。どの国の法律に従うべきか、確定したルールは無いようです。ただ、事業者の所在や、そのサーバの位置が決め手になるかといえば、サービスの提供場所とはズレる事も多いので、決め手にもなりません。こうした時代おいては、通信事業者、媒介役務を行う事業者がどこにいるか、という問題よりも、そのサービスを利用した人は誰か、発信者、受信者といった行為者がどこにいるか、誰の権利を侵害しているか、など、保護すべき権利や人を中心に考えるべきなのでしょう。これを消費地主義とか被害地主義とか言うようです。現に、Googleの検索エンジン事業は、消費地の法律に従うとされ、例えば中国の検索事業は中国法に従うとされています。こうして、事業展開の法律に従うことは当然のこととの認識になりつつあるようです。

わが国の通信の秘密を守るということであれば、わが国発、わが国着の通信を保護すべく検討が必要でしょう。その立場から見れば、総務省の一貫しない立場は批判されるべきものでしょう。