名寄ネットコミュニケーション活用研究会
事務局長
楢山晃理 様

 近年、日本だけではなく世界中で「記録的」や「観測史上」という事を頻繁に耳にするようになりました。
 さらに、新型コロナウイルスという未知なる感染症の蔓延により、当たり前の日常が当たり前ではなくなってきています。
 しかし、情報を取得できる端末機などの普及により、そういった情報を瞬時に取得し、発信できる社会になったことも事実です。
 自分や大切な人、自分の暮らす地域の生活向上のためにも「情報リテラシー」を活用して貰いたいというのが当研究会のコンセプトの一つです。

 当研究会が発足した背景には2018年9月6日『北海道胆振東部地震』による、北海道全域停電いわゆる『ブラックアウト』の発生があります。
 震源に近い地域には甚大な被害があったことは当然のことですが、この広大な北海道全域の電気供給がストップしたのです。
 私の住んでいる名寄市は、北海道の中でも災害(震災、水害など)がとても少ない地域の一つです。ですがその反面、そういった災害には慣れていないとも言えます。
 罹災時、もちろんTVは使用できない状況です。先ほどにもあった通り、今は情報を取得できる端末機などが普及している時代であり、多くの人はネットやSNSで情報を確認したでしょう。しかし、様々な情報が流れ、何が正しく何が誤情報なのか全くわからない混乱した状態でした。
 名寄市には「FMなよろ」という民間のローカルラジオ放送があります。SNS上で色々なデマ情報や誤情報が流れた中、行政と連携し正確な情報を迅速に報道し続けたのがこの民間FMラジオ放送でした。
 ローカルラジオ放送でも、ネット上の情報でも同じ情報が迅速に取得でき、デマ情報や誤情報を識別できる。その為には関係機関とのネットワーク作りが鍵であると感じました。
 そこで、以前から名寄市に「インターネットモラル講座」などでお世話になっている、株式会社ラック サイバー・グリッド・ジャパンの副GM吉岡良平(Grafsec常務理事)さんにアドバイザーとなって頂き、有志により当研究会を発足しました。

 まだまだ私たちの知名度は低いです。かと言ってすぐに知名度が上がるわけではありませんが、「リテラシー講座」や「モラル講座」の開催、行政や警察のサイバーセキュリティ活動との連携を積極的に行い、その都度新聞会社やタウン誌へ取材要請をしながら地道に活動しているのが現状です。
 ここ1年間はコロナ禍により活動は縮小していますが、それとは逆に、名寄市の小中学校から「インターネットモラル講座」の出張講師依頼が増えました。コロナ禍なので地元の講師を調達したいと、学校から教育委員会を通して相談があったのです。その学校の教頭先生が当会にご理解を示して下さっている方でした。

 記録的な災害、ネットを利用した誹謗中傷、悪質な詐欺などが増え続ける社会、果たして住みやすい社会と言えますでしょうか。
 人々の生活がより良いものとなるために進化を続けている道具、それを扱う者がアップデートしない限り自分や大切な人、そして自分の暮らす地域を守ることが難しくなっていく時代。
 私たちは講座や研修会などの草の根活動を続けながらも、次なるステップの必要性を感じています。

執筆者プロフィール

楢山晃理 様
名寄ネットコミュニケーション活用研究会 事務局長 
2016年 名寄市教育委員会青少年センター勤務し、青少年インターネットモラルに関わる。
2018年 名寄ネットコミュニケーション活用研究会の立ち上げ。
   同年 マルチメディア振興センターeネットキャラバン認定講師登録し、小中学校のインターネットモラル講座を実施。

2021/10/13

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