遠藤美季 様

区内の公立の中学校では今年1月から徐々に一人一台全員にタブレットが配布され始めました。(区によって4月から配布のところもあり)私が相談員として勤務している中学校でも、生徒が授業でタブレットを使用する姿はいつの間にか自然な光景になったと感じます。当初よく耳にしたバッテリー切れや端末を忘れるなどのトラブルは減る一方、設定の抜け道を友達と共有しあったり、本来禁止されている学習以外のコンテンツをダラダラ使うなどハラハラするトラブルの報告が次々と耳に入ってきます。また「ICT教育と学力向上について明確なエビデンスはない」という意見が社会で取り上げられもっと熟考すべきという有識者の意見もある中、走り始めた新しい学びのスタイル。誰もが関心を持たなくてはいけないと感じます。

私が勤務する学校では、先生方によって様々に工夫されたタブレット授業が行われています。学習以外でも生徒の意見の交換や、アンケート結果の共有、さらに先生が生徒を個別に対応する様子もみかけます。ただタブレットに依存するのではなく、リアルではしっかり生徒と向き合い、課題や学習記録など紙で「書く」ことも重要とし、成果や達成感は生徒の「手」で重みとして実感することも考えられていてその努力に感心します。必然的に仕事でスクリーンに向かう時間は生徒より大幅に増加しています。生徒同様、先生方の健康も気になります。

ネット依存が社会問題として話題に上る以前からPCなどOA機器を扱う職業に就く人の健康問題として『テクノストレス』というものがありました。テクノ依存、テクノ不安など自律神経の乱れや睡眠不足、眼精疲労、テクノロジーが苦手な人が感じるハラスメントなど、精神的、肉体的に不調に陥るのが特徴です。仕事が続けられなくなる、抑うつなどの深刻な精神疾患に襲われることもあり、厚労省ではVDT (Visual display terminal)症候群を予防するガイドラインを出しています。http://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-43/hor1-43-9-1-2.html

心の健康状態は深刻な状態になるまで気づかないケースがよくあります。特にテクノロジーが好きな人や自称元気な人は症状に気づきにくいので家族など周囲の人がサインを見逃さないようにすることが大事です。私自身テクノロジー好きで夜遅くも仕事をしていたのですが、病気になったとき初めて医師に疲れを感じないタイプと指摘された苦い経験があります。

GIGAスクール構想で急速に変化する教育環境、今までプライベートで使っていたスクリーンタイムを学習にシフトチェンジするか、家庭ではアナログで学習するか、家庭でも対応を考える一方、子どもたちより長時間デバイスに向かう先生たちの健康にもシステムで利用時間を管理するなどの配慮は喫緊の課題です。
比較的すぐにできる対策としては観葉植物を室内に多く配置するのもおススメの一つです。ストレス緩和、視力の調節に使うなど、気持ちよく環境づくりができます。

エンジェルズアイズでは依存や健康、情報モラルに関する情報を発信しています。講演活動の他YouTubeなどのコンテンツを使い大人でも子どもでも分かりやすく伝えています。時間があるときにチェックしてみてください。

※ 本コラムの記載内容は個人の見解であり、所属会社の立場、意見を述べたものではありません。

執筆者プロフィール

遠藤美季 様
エンジェルズアイズ 代表

ネット依存予防のための啓発活動を展開する任意団体エンジェルズアイズの代表
ネットに関するメール相談に対応する他、講演活動なども行う。
講座のひとつ『知ることが護身術』ではトラブルを避けた快適なネット利用について伝えている。その他:イラストレーター、動画編集など幅広く手掛ける。

著書 『小学生のスマホ免許』 『中学生のスマホ免許』 『脱ネット・スマホ中毒 Ver.2.0:炎上・犯罪に巻き込まれない!SNS時代を生き抜く最新護身術』  (誠文堂新光社)
『ネット依存から子どもを救え』 (光文社)など複数

2021/6/9

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