子どものネットリスク教育研究会
副代表
本間史祥 様

 本研究会は2015年からネットいじめや有害情報問題、ネット依存、ネット長時間利用による健康被害問題など子どもたちのネットリスクについて、啓発、調査研究、ネットワークづくりを行っている団体です。

 2020年3月に当時の安倍首相が発出した全国一斉の臨時休校により学校現場ではオンライン授業が加速化しました。また、新型コロナウイルス感染症対応のため、当初5年間かけて整備予定だった“子どもたち一人一台端末”いわゆるGIGAスクール構想が前倒しされました。2021年7月末の段階で、全国の自治体96.1%が整備完了となり、学校教育が大きく変革した1年間でした。

 今、子どもたちの机の上には、従来の学習用具に加え、配備された端末が置かれています。ICTを使った様々な授業や教育活動が紹介され、研究が進められています。AIドリルを使った個別最適化学習、協働学習アプリを使った授業、オンライン授業、プログラミング教育など一人一台端末により子どもの学びは多様に広がりつつあります。

 一方で、内閣府の調査によると青少年のネット利用時間の平均は約205分であり、前年度と比べて23分増加しています。また、0~6歳までの低年齢層のネット利用時間は約103分であり、前年度と比べて18分増加しています。各種統計調査を見ても、子どものネット利用時間の長時間・低年齢化は進んでいることが現状です。その影響から脳や視聴覚、睡眠などの健康被害が生じ、ネット利用時間との相関が明らかになりつつあり、専門家が警鐘を鳴らしています。子どもや学校のICT化が進んだ反面、子どものネット利用に不安を抱く人も増えたのではないかと感じています。その証拠に2020年11月発行アンデシュ・ハンセン著「スマホ脳」が55万部を超えるベストセラーになり、社会的な関心の高まりを感じています。

 本研究会では、2021年2月に「GIGAスクール学習会」を行い、現職教員より現場の実態を報告してもらい、学ぶことができました。また、2021年8月には、現職教員3名+IT企業関係者の4名でパネルディスカッションを行い、現場での状況を交流するとともに、子どものためのICT教育とは何か、GIGAスクール構想の課題は何かを探っていきました。ネットリスクを啓発するためにGIGAスクール構想の実態を知ることで、子どもや学校に寄り添った啓発につながると感じています。

 また、研究会発足後初めてとなる「研究発表会」を実施し、特にネット長時間による健康被害について、6本の研究報告がありました。誌面の関係で、全ては紹介できませんが、ネット依存部門では、ライブ配信アプリの機能や仕組みについて子ども目線で考え、eスポーツとネット依存に関する先行研究調査などが報告されました。

 GIGAスクール構想の今後にも着目しながら、ネットリスクを啓発、調査・研究を進めていきます。

執筆者プロフィール

本間史祥 様
子どものネットリスク教育研究会 副代表
教員をしながら、ネットリスクについて、啓発、調査・研究を行っている。
著書「スマホ・ネットの長時間接触による健康被害の実際と対策~ネットリスク啓発者と保護者のテキスト~(編著)」

団体概要

子どものネットリスク教育研究会
https://www.hiro-univ-netpat-otani.com/

2021/11/10

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