特定非営利活動法人ITサポートさが
理事長
陣内 誠 様

 私たち「特定非営利活動法人ITサポートさが」は、インターネットを利用するすべての人を対象に、正しくICT(情報通信技術)を活用して社会をよりよくしていこうとする意識を涵養する事業を行い、だれもが安心してインターネットを利活用できる社会作りに寄与することを目的として2005年設立し(法人化は2009年)、日々活動を続けています。
 主な事業としては、子ども達をインターネット関連インシデントから守るための教育の一環として、「ネットの安心・安全けいはつコンクール」の運営や学校・PTAでの講演・セミナーなどを行っています。学校や社会教育の場での講演の際、伝えているのが「私たち一人ひとりが情報化社会を構成する者としての自覚と責任を持つこと」です。近年の情報モラル教育は、被害防止だけでなく、子どもを加害者にしないという点にも注力するようになっています。
 さてGIGAスクール構想実現化への一連の動きは学校の教育環境を急速に変化させ、コロナ禍の影響が、情報端末所持の低年齢化に拍車をかけています。このような状況下で、高等学校の先生方を一層困惑させているのが成年年齢の引き下げです。2022年4月1日「成年年齢を18歳に引き下げること」を柱とする「民法の一部を改正する法律」が施行されます。成年年齢が18歳に引き下げられると、18歳に達した者は一人で有効な契約をすることができようになります。このことによって新成人に達した高校3年生が、SNSを介した「モノなしマルチ詐欺」や「情報商材トラブル」に巻き込まれるのではないかという危惧があるのです。消費者庁によれば「情報商材」に関連する20歳代の消費者からの消費生活相談件数は年々増加傾向にあり2020年も対前年比で約12%増加、2015年と比べても約10倍に増加しているとのことです。また国民生活センターの調査でも10歳代・20歳代の若者が契約当事者になっている相談の割合は増加しています。また、成人を迎えた20歳代の相談件数は、10歳代の未成年者に比べ、10倍ほど増加する傾向があるとのことなのです。成人間もない若者がターゲットにされているのは明白ですが、このターゲットが、改正民法施行以降は18歳の新成人へ降りてくることが心配されています。これまで未成年者は「未成年者契約の取り消し」によってこの種のトラブルから守られていましたが、その庇護が失われることになるからです。
 情報化社会は自己責任の社会と言われることがありますが、昨今の世間の混乱と現行の高等学校学習指導要領などを考えると高校生諸君に十分な準備ができているのか甚だ疑問です。大きなお世話かも知れませんが、18歳成人への詐欺被害防止やセキュリティ知識の向上等に関するサポート体制の確立が必要なのではないかと心配する今日この頃なのです。

執筆者プロフィール

陣内 誠 様
特定非営利活動法人ITサポートさが理事長
佐賀県警「特定サイバー防犯ボランティア」嘱託
「ITサポートさが」 立ち上げの中心的なメンバーの1人で、子どもたちをインターネットの有害情報から守るために「情報モラルを分かりやすく伝えたい」と、小学校の児童や中高の生徒、保護者、教育関係者向けの講演を行っている。
講演ではこれまでの教職の経験を活かして、小学生にはわかりやすく、中高生には面白おかしく、時には喝を入れながらの「自分の身は自分で守る」をモットーに、インターネットを安全に楽しく使う術を伝えている。

団体概要

特定非営利活動法人 ITサポートさが
https://www.it-saga.jp/

2021/12/08

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