NPOなら情報セキュリティ総合研究所
理事長 日置慎治 様

  少し固い論調になることをお許しいただきたい。
  大学では情報リテラシー、ICTを担当する教員、地域ではネット・スマホ講習会をメインに活動するNPO、そして家に帰れば5人の子とスマホのバトルを繰り広げてきた(いる)父親として、「子どものスマホ」に関する日本の現状、いやかっこいい言い方をすれば世界の今に危機感を持っている。
  「スマホ脳 (アンデシュ・ハンセン著)」という本がよく読まれている。スウェーデンの精神科医である著者が科学的な事実と自身の経験を元に人類の歴史で初めて直面するスマホとの付き合い方に警鐘を鳴らしており大いに共感できる内容である。
しかし我々は随分前から肌で同じことを感じてきたのではないだろうか?
  「子どものスマホはこのままでいいのだろうか?」と。
  以前から私は、子どものネット利用について「ネットは外海」であり、大人の十分な庇護のない「自由な利用(航海)は危険である」と主張してきた。
  ネット利用を含むスマホ利用自体が放っておくと子どもたちの「体と心」に大きな悪影響を与えると「スマホ脳」にも書かれている。
  子どもに関しては将来になって「あの時にやっておけばよかった」では取返しがつかない。だからなおさら我々大人は子どものスマホ利用について神経質にならなければならない。
  子どもの部屋にお菓子とジュースを置いた状態にすると当然自由に飲み食べするだろう。自制しなさいというのは無理な話である。同様に、子どもにスマホを与えて自由にさせると「体と心」に悪影響を与えることがわかってきた。従ってスマホ利用に関しては「子どもを自由にさせない」、具体的には「利用時間」「利用方法」に制限をつけることになる。
  私は奈良県でNPOなら情報セキュリティ総合研究所のメンバーとともに主に子どもを対象にネット・スマホに関する情報モラル講座を開催している。しかしながら奈良県においてもフィルタリング率が約50%と上記「利用時間」「利用方法」に関してはよい状況とは言えない。奈良県では高校生や大学生が講師となって、小中学生対象に出前講座を実施するという取り組みも継続して行われている。こういった奈良県全体で取り組んでいく中で見えてきたことは、子どもたち自身も「利用時間」「利用方法」を制限したくてもなかなかできないという現状である。その理由の一つに「自分が制限しているのに友達が使っているのは嫌だ」ということがある。そのためには皆で取り組んでいかねばならない。つまり「皆で」「継続的に」がキーワードであると考える。
  「スマホ脳」の原題は「スクリーン脳」であり、GIGAスクールで「スクリーン」に触れる機会がますます増加するこのタイミングだからこそなおさら我々大人は子どもの「スクリーン利用」について真剣に向き合わないといけない。子どもを「自由」にさせない環境作りが大切である。私はそのためのサポート役をこれからもやってまいります。

執筆者プロフィール

日置 慎治 様

NPOなら情報セキュリティ総合研究所理事長
帝塚山大学教授
平成16年NPO設立、奈良県を中心に「ネット・スマホ安心出前講座」を中心に「インターネット安全教室」「小学校ICT教育支援」や自治体向け「情報セキュリティ対策支援」等の活動を行う。多い時は年間約2万名を対象に講習を行った。

2021/3/10

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