胡口敬郎 様

コロナ禍によって、私の子供が通う学校でも様々な学校行事が中止や規模を縮小しての開催を余儀なくされていました。そんな中、教員や保護者の有志から学校行事をオンラインで開催することはできないか?と声が上がり、夏休み期間中の児童参加型イベントと運動会の保護者向け配信をオンライン対応することとなりました。しかし、このようなオンラインによるイベント開催というのは前例がなく、かつセキュリティやプライバシーはどうする?など様々な事前の検討が必要でした。本稿ではイベントの実施に向けて検討したポイントを2点記してみたいと思います。

オンライン化を実現するための機材や回線をどうするか?

当初は学校のデバイスや回線の利用を検討しました。ですが、学校の機材や回線には様々な管理が行われており、想定されていないイベントのためにこれらを利用するのは非常にハードルが高いと判断しました。そのため、学校側の設備の利用は避けて、保護者が持ち寄った回線や機材で実施する方針としました。これにより既存の環境には影響を及ぼさないイベント専用の環境を準備することができました。

アカウント管理やプライバシーは?

参加者はイベント専用の環境にゲストとして接続してもらうこととしました。イベントに参加するためのアドレスを保護者だけがアクセスできるサイトで限定公開する方法をとりました。プライバシーについても、児童参加イベントでは参加者のカメラの停止、運動会ではできるだけ個人の特定を避けるべく、顔のアップではなく全体を広く撮影するといった配慮をしました。同時に配信に用いたサービスもイベントの毎に準備し、イベント後に継続的な利用を行うような状況を避けるようにしました。今回は学校の環境とイベント用の環境を切り離す形をとりましたが、この部分はルールやポリシー、想定するリスクなどを鑑みて個別に判断する必要があるポイントかと思います。

今後改善が必要と感じた点としては、今回のイベントで利用した回線はスループットが不足しており、画質・音質の低下や、配信が中断してしまったりすることがありました。参加者が多いイベントを実施する場合には、十分な帯域の回線を確保することが重要と改めて実感しています。

そして、オンラインイベントの開催においては、事後のアンケートから配信などのトラブルの指摘はいただいたものの、イベント自体は参加した児童や保護者、教員の皆さんにはとても喜んでいただけました。

現在、GIGAスクール構想によって一人一台のデバイスの展開やネットワークの強化が進んでいると聞きます。オンラインのイベントなどにこれらのデバイスを利活用できるように組織のルール策定がなされるといいなと思います。同時に教員や保護者など関係者がコミュニティの中でお互いのスキルやノウハウを交換・継承しあいながら、誰かにお願いすることなく自分たちでこういったオンラインイベントの開催をいつでも可能とする持続性の向上が今後は重要なポイントになると思います。

※ 本コラムの記載内容は個人の見解であり、所属会社の立場、戦略、意見を述べたものではありません。

執筆者プロフィール

胡口 敬郎 様
日本マイクロソフト株式会社

2021/8/25

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